初アレP.4 ネクライトーキー「ONE」

第四弾はネクライトーキーの新作!

主な作曲に携わっている朝日さんはボカロP石風呂でしってそれからずっと追いかけている作曲家の一人でネクライトーキーというもっささんをボーカルに据えたバンドの体形は個人的には朝日さんにぴったりだと思っていたので期待値大!

 

Track.1 レイニーレイニー

二分間ほどの曲で、アルバムのロケットスタートを切るノリノリな一曲。モラトリアムな雰囲気な下らない現実への反抗を無根拠な自信満々で歌っている。ある種中二病的な社会観をドストレートな言葉で歌い上げていて臭すぎずでもバカバカしすぎない絶妙なバランス。

 

T.2 こんがらがった!

ネクライトーキー節満載な曲。冴えない日常に寄り添いながら哀愁も漂う個人的にはラブソングとして聞きたい一曲。頑張って頑張って、でも結局冷めてしまった情熱が燻ってそれの暖かさみたいなものが内から湧いてくる。サビはシラブルを多用して歌いたくなる感じ、Dメロがおしゃれでハッとする。ほんの一節だけど「人がよく死ぬ街で」のワンフレーズを入れたのはGJ過ぎる。

 

T.3 めちゃかわいいうた

かわいい…?ゴリゴリ攻撃的なサウンドで展開されるめちゃかわいいうたはふっきれて自分を奮い立たせるのにばっちりで、価値も意味もない歌詞が背筋に染みわたる空元気な一曲。

 

T.4 タイフー!

ライブ映えしそうな一曲。ワンコーラス聴くとコミカルな印象を受けるが歌詞もだんだんといいことを言い始め聞き進めるごとにかっこよくなる。それを狙ってやっていそうですげえ。

 

T.5 許せ!服部

忍者的な歌詞で服部に許しを請い続ける曲。金は返した方がいいと思う。たぶん耳に残ってたまに聞きたくなるような曲になると思う。繰り返しが多くのりやすい曲でもある。

 

T.6 オシャレ大作戦

ネクライトーキーの代表曲となった曲。まさに石風呂節、朝日節という感じ。身近な都市から宇宙に飛躍していくことで自分や取り巻く現実をちっぽけに見せて、こんな現実どうにでもなれ!どうせならやりたいようにやってやる!って感じに鼓舞してくれるこのつくりはもう朝日さんのものという感じ。鬼のようなキャッチ―さ、笑えるけど泣ける歌詞、代表曲として文句なし。

 

T.7 がっかりされたくないな

ちょっと洋楽ぽいアコギサウンドをフィーチャーした曲。緻密なフレーズを重ねていって気持ちいい音の世界を構築していてバンドの底力を見せつけていく折り返し。ただ無駄な高級感みたいなのは省いて親しみやすいのはリズムや温かみのあるフレーズからだろうか。繊細過ぎてしまった心で傷つきながらでもいろいろ強いられて自分に強いてしまっている人の隣で私もそうだよと歌ってくれる。なんかバッドエンドも感じられてしまって曲終わりに少し寂しさもある。

 

T.8 だけじゃないBABY

前の曲の人を救済していく。7曲目がああやって終わったのはこの曲のためだったのかもしれないと思うとこのアルバムは結構すごいぞ…。繊細過ぎて、潔癖すぎて、身動きが取れなくなっただれかのために世界を終わらせてあげるような曲に感じる。あけすけに陽気な局長で終始この曲はすすみ、メロに複雑なブレはあれどほとんど一定のラインの上を外れないように歌われていく。「現実を見ろ、少しは汚れろ」そんな風にきつめにいうけどそんな曲調も相まって、「ああ、そんな怯えることはなかったんだ。」と元気になれる一曲。というか誰かを元気づけたいというネクライトーキーの優しさや地震が作る音楽へ見出している価値がよくわかる一曲。

 

T.9 ゆうな

ボーカルもっささん作詞作曲の曲。雰囲気も変わって弾き語り配信してる女子とか好きそうな感じ。美メロな展開もサビの盛り上がりもちゃんとツボを押さえていて良き。女子視点で歌われる素朴で切ないラブソングは確かにもっささんが書いて歌うことに意味があるんだろうな。些細なすれ違いから綻んでしまった二人の関係を顧みて、「思い返せば彼はいいひとだったな、あの人のおかげで成長できたな、私は彼に何かしてあげられたかな、もらってばかりだったな、でも彼への想いは冷めてしまったな。」という感じで歌われているように自分には感じ取れて男の自分にとっては若干辛いものがある…。

 

T.10 遠吠えのサンセット

サビで加速するテンポがかっこいい一曲。夕暮れをバックに寂しくて青臭い哀愁にまみれて、諦めて開き直ってでも泣かせてくれ!でも君だけは守りたいってすごい人間臭くてかっこ悪くてかっこいい。幸せになりてえな。

 

T.11 明日にだって

燻る衝動に火を点けてを叫びあげるハイテンポな曲。ピアノやチップチューンぽいサウンドを推しているのも特徴か。歌メロは愚直で叫ぶのに持ってこい。

 

T.12 夏の雷鳴

アコギの撥ねるような伴奏に素朴なボーカルを乗せて、涼しい夏の雨と雷のセンチメンタルを仄めかしながら素直じゃない言葉を吐いて、些細な願い事を呟くように歌う。ノリノリな曲やエモーショナルな曲も多い中それを締めくくるのにもってこいなしっとりと控えめででも耳なじみの良い普通にいい曲。

 

総評

 

点数:83点

 

全体的に一貫したメッセージ性があり独特のサウンドや歌詞の世界観を構築できていてネクライトーキーにしか作れない音楽であり、音楽シーンに足りていない、でも必要とされている曲たちを生み出していった意欲作。キャッチ―でポップな色ものバンドみたいな第一印象を持たれがちだがファッション的に音楽を聴いている人より本当に音楽が好きで、そこに生きがいだったり救いみたいなものを求めている人にとってとてもいい作品になっているし、ファッションで聞いている人をそっちへ引き込める魅力もある作品だと思う。

曲順にもこだわりを感じ通して聞きたいアルバムになっている。

減点理由は、やっぱりちょっと暗いかなーとおもうところと単純なサウンドの好みや曲の方向性の好み。キーボードのフレーズなんかも耳に残りやすくキャッチ―でいいとは思うが個人的には流れるようなフレーズが好きなので若干の分断感が苦手。有機的にフレーズ同士をブリッジしていければ個人的にはもっと好きなれそう。

 

おすすめトラックは…「だけじゃないBABY」

 

是非曲順通り聞いていただきたいが単体でもすごくパワーのあるこの曲をお勧め。

もっささん作詞作曲のゆうなも時点で推せるくらいにいい曲だと思う。